2011/08/26

被爆者の高松さんと「ナージャの村」

昨日、以前お話を伺った、広島の被爆者の
高松さんと、お電話でお話した。

高松さん。
  高松さんの声を
 お聞きするのは
 実に、2年ぶり。
 受話器ごしの、お元気そうな、
 力強い声に
 嬉しさがこみあげてきた。



とはいえ、最初、お電話に出られた、
高松さんの、第一声は、とても小さく、
「寝てらっしゃったのかな・・?」と
私は慌てて、
「また、かけ直しましょうか?」
と言ったほどだった。


聞くと、高松さんは、この日「ナージャの村」という映画
の上映会に、行ってきたという。
(※「 ナージャの村 」は、
チェルノブイリの原発事故によって
汚染区域となった場所で、
政府の避難政策に従わず、
そこに残る事を、選択した人々
の生活を追った、ドキュメンタリー映画だ。
監督:本橋成一 製作総括: 鎌田實 )

高松さんは、
「今日1日ね、映画を見て、誰とも
話をせずに、ずっと考えに耽っていたんですよ。」と言う。
消え入りそうな、電話の第一声は
こういった理由だった。

もっとも、お話するうち、すぐに
いつもの高松さんらしい、
力強く、快活な話しぶりに、変わっていったのだが・・。

チェルノブイリでは、
事故から約25年たった今も、
放射線に汚染された地域を、
政府が「汚染地区」として指定し、
人の立ち入りを、禁じているという。
「ナージャの村」は、汚染地区で静かに
自然とともに、暮らす人々の生活を
淡々と、映す。


かつての広島で原爆に合い、
戦後の日本を、生き抜いてきた、高松さん。
スクリーンを通して出会った
異国の人々に、なにを見たのだろうか・・?
お電話では、ゆっくり話もできないので
お互い、敢えて触れなかったが、
3.11以降の日本・とりわけ福島
への想いが、今の高松さんを、
大きく揺り動かしているのは
まず、間違いない、と思う。

高松さんは、たいへん
熱心に、
かつての戦争の真実を
探求しておられる方だ。

被爆した体験を
ご自身の原体験として
中心に据え、70代の現在も
「あの戦争は、なんだったのか?」
「戦後、この国は、どういう経緯を経てきたのか?」と
常に、勉強しておられる。



「決して、今起っていることは
ヒト事ではない。
自分事ですね」と
二人で、確認し合って、お電話をきった。

今度会ったら、高松さんの、
映画の感想を聞かせていただきたい。

近日中に、高松さんと再会させていただきます